犬の歯周病とは?症状・原因・治療・予防を獣医師が解説

犬の歯周病とは?

犬の歯周病は、歯垢(歯の表面につく細菌のかたまり)が原因で、歯ぐきや歯を支える部分に炎症が起こる病気です。口臭や歯石があっても、犬は痛みを隠すことがあります。口臭や歯石が気になったら、まずは当院でお口の状態を確認しませんか。

当院では、まずお口の状態を診察し、歯科用レントゲンや麻酔下の処置が必要かどうかを判断します。詳しくは当院の歯科診療をご覧ください。

犬の口の中を確認している様子

犬の歯周病でよくある症状

  • 口臭が強くなった
  • 歯に黄色や茶色の歯石がついている
  • 歯ぐきが赤い、腫れている、血が出る
  • よだれが増えた、口を触られるのを嫌がる
  • 硬いフードを避ける、食べるのが遅くなった
  • 歯がぐらつく、顔が腫れている

症状が少なくても、歯ぐきの下で病気が進んでいることがあります。特に、顔の腫れ、出血、歯のぐらつき、食べにくさがある場合は、早めに当院でお口の状態を確認してください。

なぜ犬は歯周病になるの?

歯垢をそのままにすると、歯石になります。歯石の表面にはさらに歯垢がつきやすく、歯ぐきの炎症が進みます。小型犬や歯が密集している犬は、歯垢がたまりやすい傾向があります。

表面の歯石を取るだけでは、歯ぐきの下の病気まで確認できません。当院では、診察で必要性を確認したうえで、歯科用レントゲンやプロービングなどの検査をご案内します。

歯周病はどこまで進む?

大まかには、次のように進みます。正確な重症度は、歯ぐきの下や歯を支える骨を調べて判断します。

歯周病の進み方や家庭でのケアの考え方は、AAHAの犬猫デンタルケアガイドラインも参考になります。

  • 歯肉炎:歯ぐきが赤くなり、出血することがある段階
  • 初期の歯周炎:歯と歯ぐきの境目に炎症が広がり始める段階
  • 進行した歯周炎:歯を支える骨が減り、歯がぐらつくことがある段階
  • 重度の歯周炎:感染や痛みが強く、抜歯が必要な歯もある段階
犬の正常な歯肉から重度の歯周炎までの進行を示す図

犬の歯周病は、どう診断・治療する?

犬の口を見ただけでは、歯の根や歯ぐきの下の状態までは分かりません。当院では、必要に応じて全身麻酔下の歯科処置(COHAT:口全体を確認し、必要な処置まで行う歯科ケア)を行い、検査から治療まで一度に進めます。

  1. 口の中を確認し、歯石・歯ぐき・歯のぐらつきを調べる
  2. 歯科用レントゲンで、目に見えない歯の根や骨を確認する
  3. 歯と歯ぐきの境目の深さを測る
  4. 歯石を取り、表面を磨く。残すのが難しい歯は抜歯を検討する

抜歯するかどうかは、歯のぐらつき、感染、歯を支える骨の状態、全身状態を合わせて決めます。

当院の歯科診療で大切にしていること

当院では、表面の歯石だけを取るのではなく、歯の根元やあごの骨まで確認したうえで、できるだけ歯を残すことを大切にしています。

必要に応じてCOHATを行います。歯科用レントゲンや歯科専用ユニット(超音波スケーラーや研磨器具など)を使い、見えない部分まで確認・清掃します。

  • 歯科用レントゲン:歯の根元や、歯を支える骨の状態を確認します
  • プロービング:専用の器具で、1本ずつ歯周ポケットの深さを測ります
  • スケーリング・ポリッシング:歯周ポケットの奥の歯石や細菌を取り、歯の表面を磨きます

当院では、歯周ポケット5mm以上を一つの目安に、骨の吸収や歯のぐらつきなどを合わせて、抜歯が必要か判断します。軽度〜中等度であれば、歯周ポケットの洗浄や局所的な処置で、できるだけご自身の歯を残す方法も検討します。

当院の歯科診療の詳細はこちら。

麻酔や無麻酔の歯石除去が心配な方へ

歯科処置では、痛みや恐怖を抑えながら口の奥や歯ぐきの下を確認するため、全身麻酔が必要になることがあります。当院では、術前の診察・血液検査などで全身状態を確認し、麻酔中もモニタリングを行います。高齢や持病がある場合も、年齢だけで判断せず、治療のメリットとリスクをご説明します。

無麻酔の歯石除去は、表面の汚れを取るだけになりやすく、一番重要な歯周ポケットの奥を確認・清掃できません。痛みや恐怖で動いた際に口の中を傷つけるおそれもあるため、当院では推奨していません。

(参考:WSAVAのDental Guidelines)

自宅でできる予防

歯周病予防の基本は、歯垢をためないことです。

家庭での歯磨きやデンタルケアの考え方は、日本小動物歯科研究会のガイドラインも参考にしながら、当院でその子に合う方法をご案内します。

  1. まずは口元を触る練習から始め、犬用歯ブラシに慣らす
  2. できれば毎日、難しければ無理のない頻度で歯を磨く
  3. 歯磨きが難しい場合は、当院でその子に合うデンタルケア用品や方法を相談する
  4. 口臭や歯ぐきの変化を定期的にチェックする
犬の歯を歯ブラシで磨いている様子

よくある質問

犬の歯周病は自然に治る?

自然に治るとは限りません。歯垢や歯石が残ると進行することがあるため、気になる変化があれば当院でお口の状態を確認します。

歯石だけ取れば大丈夫?

歯ぐきの下に病気があると、表面の歯石だけでは不十分です。当院では、歯科用レントゲンやプロービングで状態を確認し、必要な処置をご提案します。

歯磨きは毎日必要?

毎日の歯磨きが理想です。いきなり完璧を目指さず、短時間から続けましょう。

まずは当院で愛犬のお口を確認しませんか?

口臭、歯石、歯ぐきの出血、食べにくそうな様子があれば、受診のきっかけは十分です。「まだ治療が必要か分からない」という段階でも、当院ではまずお口の状態を診察し、必要な検査やケアの方法をご説明します。

歯科処置が必要な場合は、術前検査を行い、麻酔・検査・処置の流れを事前にご案内します。治療内容や抜歯の判断は、診察結果によって異なります。ご予約・診療案内をご確認ください。