その「咳」や「疲れ」、年のせいだと諦めていませんか?
「最近、散歩ですぐに帰りたがる」
「寝てばかりいるようになった」
「興奮すると咳き込む」
シニア期に入ると、こうした変化を「もう年だから仕方ない」と見過ごしてしまいがちです。しかし、その変化は心臓からのSOSかもしれません。
心臓病と聞くと、「怖い」「治らない」と不安に思われるかもしれません。でも、現代の獣医療では、早期に見つけて適切にケアをしてあげることで、病気と上手に付き合いながら、天寿を全うする子も増えています。
大切なのは、変化に気づき、早く手を打つことです。

こんな症状はありませんか?
以下のようなサインはありませんか?一つでも当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。
- 咳が出る
- 疲れやすくなった
- 散歩に行きたがらない、すぐに座り込む
- 呼吸が荒い・速い
- 舌の色が紫色や白っぽくなっている
- 失神する(興奮した時などに突然倒れる)
- お腹だけが膨らんできた
知っていますか?
小型犬とネコちゃんに多い
「心臓のトラブル」
小型犬の宿命?「僧帽弁閉鎖不全症」
チワワ、トイ・プードル、ポメラニアンなどの小型犬に非常に多いのが「僧帽弁閉鎖不全症」です。
僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の中で血液の逆流を防いでいる「弁(ドア)」がうまく閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。
初期は無症状ですが、進行すると心臓が大きくなり、肺に水が溜まる「肺水腫」を引き起こし、呼吸困難になる恐れがあります。「咳が出る」ようになった頃には、すでに進行しているケースが多く見られます。

隠すのが上手なネコの「肥大型心筋症」
ネコちゃんは本能的に不調を隠すのが上手な動物です。そのため、心臓病になってもギリギリまで元気なふりをします。
ネコちゃんに多い「肥大型心筋症」は、心臓の筋肉が分厚くなり、心臓の部屋が狭くなってしまう病気です。怖いのは、ある日突然、心臓の中にできた血の塊(血栓)が詰まり、後ろ足が動かなくなったり、急激な呼吸困難に陥ったりすることです。
ネコちゃんの場合、症状が出てからでは手遅れになることも少なくありません。
だからこそ、定期的なチェックが命綱になります。

適切なケアで、
穏やかな毎日は取り戻せる
治療症例のご紹介

症例1:夜中の咳が止まり、ぐっすり眠れるようになったワンちゃん(僧帽弁閉鎖不全症)
【Before】夜になると「カッカッ」という乾いた咳が止まらず、本人もご家族も眠れない日が続いていました。食欲も落ち、大好きだったお散歩もすぐに疲れて座り込んでしまう状態でした。
【After】エコー検査で心臓の状態を詳しく診断し、負担を和らげるお薬を開始しました。数日で咳が落ち着き、朝までぐっすり眠れるように。今では短い距離ですが、しっぽを振って楽しそうにお散歩しています。
【飼い主さまの声】「あんなに苦しそうだった咳が嘘のように静かになりました。夜中にこの子の穏やかな寝顔を見られるのが何より嬉しいです。表情も以前より明るくなった気がします。」

症例2:健康診断で偶然発見!未然に発作を防げたネコちゃん(肥大型心筋症)
【Before】お家では全く変わった様子はなく、元気に走り回っていました。しかし、健康診断の時に小さな心雑音が見つかり、念のため精密検査を行うことになりました。
【After】検査の結果、心筋が厚くなる病気が進行しつつあることが判明。
血栓(血の塊)を予防する治療を早期にスタートしました。突然の後ろ足の麻痺や呼吸困難といった怖い発作を起こすことなく、元気に過ごせています。
【飼い主さまの声】「『こんなに元気なのに心臓病?』と最初は信じられませんでしたが、猫は不調を隠すと聞いて納得しました。あの時見つけられなかったら…と思うとゾッとします。早めに治療を始められて本当に良かったです。」
治療方針に迷われている方へ
|セカンドオピニオンのご案内
「他院で心臓病と診断されたけれど、説明が難しくてよく分からなかった」「薬を飲み始めたけれど、本当にこのままで良いのか不安」「外科手術という選択肢があるのか知りたい」このようなお悩みをお持ちの場合も、遠慮なくご相談ください。
セカンドオピニオンは、主治医の先生を裏切る行為ではありません。別の獣医師の視点を取り入れることで、飼い主さまがより納得して治療に向き合えるようになることが、結果としてその子のためになります。
当院では、現在の治療内容や検査データを尊重しながら、丁寧に診察・ご説明を行います。
これまでの検査データをお持ちください
血液検査の結果やレントゲン写真などがあれば、重複する検査を省き、動物への負担と費用の両方を抑えることができます。
「お話だけ」でも構いません
まずは飼い主さまの不安な気持ちをお聞かせください。
「早期発見」がカギ
当院の心臓ドック・
精密検査について
聴診器による検査は非常に重要ですが、それだけでは「心臓の内部で何が起きているか」までは分かりません。
「雑音があると言われたけれど、どれくらい悪いのか分からない…」
そんな不安を解消するために、当院では以下の検査を組み合わせ、多角的な視点で正確な診断を行います。
心臓エコー検査(超音波検査)
当院の検査の要です。痛みや被ばくの心配なく、心臓の「筋肉の厚さ」「部屋の広さ」「血液の逆流」などをリアルタイムの映像で確認します。麻酔も使わず、横になっているだけで検査可能です。
レントゲン検査
心臓全体の「大きさ」や「形」をシルエットで確認します。また、心臓病が悪化した時に起こる「肺水腫(肺に水が溜まる状態)」になっていないかなど、肺の状態もあわせてチェックします。
心電図検査
心臓が動くリズム(電気信号)を記録します。失神や突然死の原因にもなりうる「不整脈」が出ていないかを確認するために欠かせない検査です。
血圧測定
高血圧は心臓に大きな負担をかけ、病気を進行させる要因になります。全身の健康状態を把握し、お薬の種類や量を調整するための重要なデータを測定します。
これらの結果を総合的に分析し、「今すぐ治療が必要な段階なのか」「まだ経過観察で良いのか」を明確にお伝えします。
よくあるご質問
-
Q症状がないのに薬を飲む必要はありますか?
-
Aはい、おすすめする場合があります。 心臓病は、咳などの症状が出た時点ですでに「中等度〜重度」に進行していることが多いです。検査の結果、心臓に大きな負担がかかっていると判断した場合は、心臓が疲弊して症状が出るのを防ぐ(発症を遅らせる)ために、早期からの投薬をご提案しています。
-
Q興奮させないようにと言われますが、お散歩はしてもいいですか?
-
A基本的にはお散歩に行っていただいて大丈夫です。
お散歩は筋力の維持やストレス発散に大切です。ただし、呼吸が荒くなるような激しい運動や、興奮しやすいドッグランなどは控えていただく場合があります。その子の心臓のステージに合わせた「ちょうどいい運動量」をご説明します。 -
Q検査にかかる時間はどれくらいですか?
-
A詳しく調べる場合、30分〜1時間程度お時間をいただきます。
ワンちゃん・ネコちゃんが怖がらないよう、優しく声をかけながら、必要に応じて休憩を挟んで行います。飼い主さまと一緒に診察室に入っていただくことも可能です。
まずは「聴診」から
始めませんか?
「最近、咳が増えた気がする」「健診で雑音があると言われた」
「今の治療について、他の先生の意見も聞いてみたい」
そんな時は、一人で悩まずに当院へお越しください。
聴診器ひとつあれば、分かることがたくさんあります。
もし異常がなければ、それで安心できます。
もし治療が必要でも、早く見つけることができれば、その分だけ長く穏やかな時間を守れます。
言葉を話せないワンちゃん・ネコちゃんのサインに気づけるのは、一番近くにいる飼い主さまだけです。
「少し気になる」というその直感を大切に、ぜひ私たちにお聞かせください。