当院の手術について

当院の手術について

当院では不妊手術(避妊手術・去勢手術)を始め、一般的な外科手術全般を行っております。​
当院では、動物への負担を最小限に抑えるために、手術方法や使用する医療機器・部材に配慮しています。手術を行う際には、術式や手術のリスク、メリット・デメリットなどについて詳しく説明いたします。お手術に関するご希望や不安がありましたら、診察時にお気軽にご相談ください。当院では、飼い主様とのコミュニケーションを大切にし、最善の治療を提供することを心がけています。​​

当院の手術の特徴

1.丁寧な手術の説明を

手術にはメリットだけでなく、麻酔のリスクや術後のストレスなどのデメリットも存在します。当院では、手術の必要性がある場合には、詳細な説明を行い、ペットと飼い主様が共に最適な方法を検討していきます。

2.動物に「痛み」の少ない方法を

動物が痛みを感じていると、ストレスが増え、食欲不振やエネルギー不足につながり、回復に時間がかかってしまいます。そのため、痛みを軽減することは、早期の改善や退院に繋がる重要な要素です。当院では、手術前・手術中・術後において、適切な鎮痛剤の使用により「痛みの管理」に努めています。

3.動物に「負担」の少ない方法を

手術時には動物への負担として「麻酔時間」があります。麻酔時間が長くなるほど、麻酔のリスクも増加します。そのため、手術時間を可能な限り短縮することが、麻酔による負担を減らす一つの方法です。当院では、最新の医療機器や電気メスの導入、手術時間を短縮し、リスクを最小限に抑える取り組みを行っています。

4.万が一に備える体制を

手術は安全性が確保されていても、予期せぬ事態が発生する可能性があります。そのような場合に備えて、当院では緊急時の対応体制を整えています。手術中の生体管理では、機械によるモニタリングだけでなく、経験豊富なスタッフによる密な管理も行っています。​
また、術後の管理においても、動物が飼い主様のもとへ元気に帰るまでの期間が重要です。そのため、手術直後の集中治療室(ICU)による経過観察はもちろん、術後の飼い主様への詳細な説明や、手術後数日間にわたるアフターケアなど、最後まで丁寧に対応することが、当院の責任と考えています。

5.安心の術前検査を

当院では、麻酔や手術を安心して受けていただくために、術前検査をおすすめしています。血液検査やレントゲン検査を基本として行い、必要に応じて年齢に合わせたエコー検査など追加検査を実施します。​
術前検査により、麻酔や手術中の急変や術後の経過不良などを事前に予知することができ、より安全な手術が行えます。ペットの状態や体質に合わせた個別の検査結果に基づき、安心して手術に臨むための術前検査を重視しています。

​6.安全な環境整備を

当院では、清潔で安全な環境を提供するために、手術室はもちろん、全室において院内感染予防対策を徹底しています。日々の清掃においては、消毒液などを使用して院内全体を清潔に保っています。​
安全な環境作りを実現するために、私たちは患者さんとスタッフの安全を最優先に考えています。感染症予防対策を徹底し、清潔な環境を維持することで、手術や治療の安全性を高めています。当院のスタッフは定期的な教育やトレーニングを受け、感染予防対策に精通しています。患者さんと飼い主様に安心してご利用いただけるよう、安全な環境整備に努めています。

​7.将来を考えた術式を

手術において、腫瘍や臓器の摘出時には、血管を切断する必要があります。通常は安全性の高い縫合糸を使用して止血を行いますが、まれに身体が異物(縫合糸)に反応し、「異物反応性肉芽腫」という病気を引き起こすことがあります。しかし、このようなリスクを未来に向けて排除することが可能です。​
当院では、将来を見据えた術式を取り入れています。身体への負担や合併症のリスクを最小限に抑えるために、異物反応性肉芽腫のリスクを軽減する手術法を選択しています。最新の医療知識や技術を駆使し、患者さんにより安全で持続可能な手術を提供することを目指しています。

不妊手術

将来的に繁殖を考えていない場合には、将来発生する病気のリスクを軽減することを目的として、若い時期の不妊手術をお勧めしています。不妊手術には、望まない繁殖を防ぐ以外にも下記のようなメリットとデメリットがあります。

メリット
避妊手術(女の子) ①特有の行動の減少​
発情時特有の神経質な状態や鳴き声の減少、発情出血がなくなります。​

​②病気の予防(乳腺腫瘍・子宮蓄膿症)​
乳腺腫瘍は早期の不妊手術で発生率の減少が期待できます。​
子宮蓄膿症は避妊手術を受けていないワンちゃんが7歳以降に多く発症する病気です。​
名前の通り子宮に膿が溜まってしまい、命に関わる非常に怖い病気です。

去勢手術​(男の子) ①縄張り意識の減少​
マーキングやマウンティング、攻撃性の減少が期待できます。​

②病気の予防(精巣腫瘍・前立腺肥大・肛門周囲腺腫)​
排便・排尿困難につながる前立腺肥大の予防や、雄性ホルモンが発生に関与する腫瘍の予防につながります。

デメリット
共通 エネルギー代謝が落ち太り易くなります。​
・手術前に比べ、20~30%もエネルギー代謝が落ちるといわれています。​
・食事や運動といった管理で体重を維持することが必要になります。
手術のタイミングについて
避妊手術(女の子) 生後6ヶ月程度で手術を行います。
去勢手術​(男の子) 生後6ヶ月程度で手術を行います。​
性成熟がくる時期やマーキングを始める時期が生後6ヶ月以降と言われているためです。

避妊去勢手術により防げる病気

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、子宮内の感染により膿が溜まる病気です。この病気は非常に強い感染症であり、命に関わる危険性があります。症状としては、元気がない、食欲不振、多飲多尿などがあり、症状だけで判断するのは難しいです。​
子宮蓄膿症の診断には、血液検査、レントゲン検査、エコー検査などが行われ、感染や炎症の有無、子宮内に液体が溜まっていないかなどが確認されます。子宮蓄膿症と診断された場合、子宮と卵巣の全摘出手術が必要となります。​
この病気は治療が遅れると、細菌が産生する毒素により多臓器不全、腹膜炎、敗血症を引き起こす可能性があるため、早期の発見と治療が非常に重要です。迅速な対応が命を救うことにつながります。

膀胱切開(膀胱結石や膀胱腫瘍)

膀胱結石や膀胱腫瘍がみられる場合に、膀胱切開により膀胱結石の摘出や膀胱にできた腫瘍を切除します。症状としては、血尿、頻尿等の膀胱炎の症状がみられます。​
尿検査・レントゲン検査・エコー検査などを行い、血尿の有無、結晶や細胞の確認、膀胱の内部構造など検査していきます。​
膀胱切開手術を行い、結石を摘出したり腫瘍を切除したりするほか、結石の種類によっては食事療法による内科的コントロールを選択することもあります。

胃・腸切開(消化管内の異物除去など)

消化管内異物の摘出や消化管内腫瘍の切除などは、さまざまな目的で行われます。消化管内に異物が存在するかどうかを確認するためには、レントゲン検査や造影検査、腹部エコー検査などが行われます。これにより、異物の有無だけでなく、消化管の運動や狭窄、閉塞などの状態も確認することができます。​
消化管内に異物が見つかった場合や、腫瘍による消化管閉塞がある場合には、開腹手術が行われます。手術により、異物を摘出したり、腫瘍を切除したりすることで、消化管の正常な機能を回復させることが目的です。​
消化管内の異物や腫瘍に対する手術は、患者さんの安全を最優先に考えて行われます。適切な検査や診断を行い、必要に応じて手術を選択することで、患者さんの健康回復に寄与することを目指しています。

会陰ヘルニア

会陰ヘルニアは、会陰部の筋肉の薄さによって、直腸や膀胱などが肛門周辺のスペースから飛び出してくる病態です。初期症状としては、肛門の横や下に膨らみが生じたり、排便が困難になったりすることがあります。進行すると、膨れが大きくなり、便や尿の通過が阻害されたり、出血することもあります。​
会陰ヘルニアの診断には、直腸検査、レントゲン、エコー検査などを用いて直腸や前立腺などの位置異常を確認し、血液検査によって臓器の損傷や全身の状態を評価します。​
ヘルニアは自然に治癒することはありません。時間の経過とともにヘルニア孔が拡大することが多く、尿の通過が困難になったり、重篤な合併症である直腸穿孔を引き起こす可能性もあります。そのため、治療には外科手術が必要です。外科手術により、ヘルニアを修復し、正常な機能を回復させることが目的です。

投稿日:2023年8月1日 更新日: