ペットの健康状態を把握するために、皮膚は重要なバロメーターとされています。皮膚は体全体の不調を示すサインを発する可能性が高い部位です。皮膚病が進行すると、身体の「バリア機能」が低下し、悪化が加速される悪循環に陥ることがあります。ペットの皮膚の健康状態を定期的にチェックし、早期に健康変化に気づくことが重要です。また、スキンシップの中で皮膚の変化に気づくこともあるかもしれません。気になる点があれば、お気軽にご相談やご来院ください。皮膚の健康管理についてもサポートいたします。
こんな症状はありませんか?
症状や様子 |
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かゆそうにしている |
かゆがって床などにこすりつける仕草をしている |
毛が抜けてしまっている |
かさぶたができている |
フケが出ている |
皮膚や毛が脂っぽくギトギトしている |
発疹が出ている |
こんな病気のサインかもしれません
ペットの皮膚の変化は、一般的には比較的気づきやすいものですが、毛に覆われているために見逃してしまうこともあります。特にネコちゃんは自己グルーミングが得意なため、症状を見逃しやすいことが多いです。
膿皮症
症状
皮膚のバリア機能や免疫力の低下によって、皮膚にある黄色ブドウ球菌などの菌が、皮膚に入り込み増えてしまうことで細菌感染が起きる病気です。かゆみやニキビのような発疹、かさぶたや脱毛などの症状があります。脇やおなか、内ももなどの場所に出来ることが多いです。
当院の治療例
治療前
治療後
治療法
抗生物質の投与・薬用シャンプー
かかりやすい犬種
ジャーマンシェパードドッグ・シェトランドシープドッグ・ボストンテリア・パグなど
かかりやすい猫種
ヒマラヤン・ペルシャなどの長毛種
皮膚糸状菌症
症状
糸状菌というカビが皮膚に入り込み増えてしまうことで炎症を起こす病気です。顔や足先など皮膚に赤い発疹やかゆみ、フケや脱毛などの症状があります。
糸状菌は人獣共通感染症のひとつで、人間にも感染する可能性があるため十分注意が必要です。
治療法
抗真菌薬の投与・薬用シャンプー
かかりやすい犬種
子犬・老犬、投薬中など免疫力が低くなっている犬
かかりやすい猫種
子猫や免疫力が低くなっている猫、長毛種
マラセチア皮膚炎
症状
マラセチアとはワンちゃんやネコちゃんの皮膚に常在している菌のひとつです。このマラセチアが、皮膚のバリア機能や免疫力の低下によって、過剰に増えてしまうことで起こる病気です。かゆみや皮膚にべたつきが出たり、独特なにおいがするという症状があります。
治療法
抗真菌薬の投与・薬用シャンプー
かかりやすい犬種
シーズー・プードル・マルチーズ・コッカースパニエル・パグなど
かかりやすい猫種
セルカークレックス・コーニッシュレックス・デボンレックスなど
アトピー性皮膚炎
症状
アレルギー性皮膚疾患のひとつです。ハウスダストやダニ、カビ、花粉といった環境の中にあるアレルゲン物質にアレルギー反応を起こしてしまう病気です。顔や脇、お腹、肛門周りなどに激しい痒みや赤く炎症が起きるという症状があります。激しい痒みから舐めたり床にこすりつけたりすることで、毛が抜けてしまったり皮膚が厚くなることがあります。
治療法
抗生物質の投与・薬用シャンプー
かかりやすい犬種
ジャーマンシェパードドッグ・シェトランドシープドッグ・ボストンテリア・パグなど
かかりやすい猫種
ヒマラヤン・ペルシャなどの長毛種
ニキビダニ
症状
「ワンちゃんのニキビダニ症」は、別名「毛包虫症」とも呼ばれます。これは皮膚の毛穴内のニキビダニが異常増殖し、皮膚病を引き起こす現象です。この皮膚病は、犬の顔や四肢に発症し、症状としてはフケや脱毛が見られます。
健康なワンちゃんでもニキビダニは皮膚に常在しています。ただし、何らかの環境変化がニキビダニの過剰増殖を引き起こし、それにより皮膚症状が発現します。
治療法
駆虫薬の投与・薬用シャンプー
当院の治療例
治療前
治療後
甲状腺機能低下症
症状
甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまうことで起こる病気です。甲状腺ホルモンとは、代謝の促進をするホルモンで、低下してしまうと、身体に左右対称の脱毛やフケ、毛ヅヤが悪くなる、べたつくなどの症状が出てきます。その他にも、元気がなくなる、寝ている時間が多くなるなどの症状もあります。
治療法
甲状腺ホルモン剤の投与
かかりやすい犬種
ゴールデンレトリーバー・ボクサー・コッカースパニエルなど
外耳炎
症状
耳の外側(耳介)部分に炎症が起きてしまう病気です。原因はいくつかありますが、主に耳ダニやアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどがあります。黒い耳垢やにおい、赤くなる、かゆがるなどの症状があります。また、耳を触られるのを嫌がったり、かゆさから床にこすりつけたりすることがあります。
治療法
耳の洗浄・点耳薬・抗菌薬の投与
かかりやすい犬種
ゴールデンレトリーバー・ラブラドールレトリバー・トイプードルなど
非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎
症状
ネコちゃんに発症する、ノミや食物アレルギー以外が原因のアレルギー性皮膚炎のことです。症状はアトピー性皮膚炎と似ている病気です。目の上や耳、おなか、内またに赤い発疹が出ます。患部を舐め続けてしまい、脱毛に繋がってしまうこともあります。
治療法
抗生剤・抗菌薬・ステロイドの投与
医原性クッシング症候群
症状
医原性クッシングは、主にアレルギー性や免疫介在性疾患の治療により過剰に投与される「副腎皮質ホルモン(ステロイド)」の結果、発症する状況を指します。
主な症状は、多飲多尿や多食、パンティング、元気消失です。皮膚では、徐々に進行する左右対称性の脱毛が起こります。
治療法
抗生剤・抗菌薬・ステロイドの投与量を減らす。
当院の治療例
治療前
治療後
猫ニキビ(挫創)
症状
ネコちゃんのあごや口の周りの分泌腺に分泌物が溜まることで炎症が起き、茶色・黒色のブツブツができる症状があります。アレルギーやストレス、感染、フードが原因として考えられます。
症状が軽い場合は、痛みもないことが多いですが、悪化してしまうと赤く腫れてしまうことがあります。口の周りの雑菌が悪化してしまう原因になるので、常に清潔にしておくことが大切です。
治療法
抗菌薬・抗炎症剤の投与
当院での検査方法
①スタンプ検査
②スクレーピング検査
③被毛検査
④真菌培養検査
⑤アレルギー検査
⑥分泌系検査(ACTH刺激検査・甲状腺ホルモン検査等)
⑦細菌培養検査
⑧皮膚生検
当院でできる皮膚ケア
当院はトリミングサロンを併設しています。
トリミングサロンと当院とで連携をし、美容と健康維持を合わせたメディカルトリミングをおこなっています。
シャンプー
ワンちゃん・ネコちゃんの皮膚の状態に合ったシャンプーをご提案させていただきます。また、いせき動物病院では炭酸泉をシャンプー時に使用しています。
【炭酸泉】とは弱酸性炭酸ガスが含まれており、ドイツでは「心臓の湯」として知られ、心臓への負担を軽減しながら血液の循環を改善するため、生活習慣病の治療やリハビリなどに広く利用されています。また、ペットにも炭酸泉を利用することで、新陳代謝を促進し、地肌の状態を整え、美しい毛ヅヤを取り戻すことができます。
近年、脂性肌、乾燥肌、アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルを抱えるペットが増えていますが、高濃度炭酸泉は除菌効果もあり、低刺激で弱酸性です。そのため、ペットの皮膚炎に非常に効果的です。地肌を清潔に保ちながら、皮膚トラブルを改善することができます。
詳しい料金等はお問い合わせください。