こんにちは!獣医師の山浦です!
今日はよくある症状の一つである、「体重減少」についてのお話です。
「ぽっちゃり体型に悩んでいたけど、何もしていないのに痩せてきた」
「歳をとったからか、体が細くなった」、「よく食べるけど痩せてる」
という時に、何が考えられるのでしょう。
痩せる原因は大きく分けて、一時的なものと、病気によるものがあります。
フードをちゃんと食べられていない可能性
①食事量が足りていない
活動量が一般的な犬・猫の摂取カロリーの目安は以下の式で計算できます。
【30×体重(kg)+70】×1.2kcal
食事量は、成長期や活動量の多い子、妊娠中・授乳中等によって必要な量が変わってきます。
また、季節によっても体重が増減する事があります。(夏の暑さで食欲が落ちる事もありますが、北海道の冬は寒く、消費カロリーが増えるため、体重が減る子がいます。)
② フードの嗜好性が適切か
嗜好性の低いフードだと、食欲はあっても適切量を食べる事ができずに、体重減少につながる事があります。
食物アレルギーや、基礎疾患がない子であれば、好むフードを探してみましょう。
③ヒートが来ている
ヒートが来て、食欲が落ちる事により痩せる事があります。発情期が過ぎると自然と体重が戻ります。発情期で、かつ病気の兆候がない場合はヒートによるものと判断する事があります。
④老化
運動量が減り、筋肉量が減ることで徐々に痩せてくる事があります。食欲・元気があり、病気の兆候がない時は老化によるものと判断する事があります。
病気の場合…
病気で体重が減る原因は様々です。
①食欲はあるのに食べられない
口の環境が悪かったり(咥える、咀嚼するのが辛い)、嚥下障害(飲み込めない)があると、食べづらさから、食欲が落ちます。
口の環境が悪い主な原因としては
- 歯肉炎・歯周病などによる炎症
- 口内炎
- 異物(誤食)が詰まっている
- 口の中に腫瘍(デキモノ)がある
- 鼻水が詰まっている
- 噛む筋肉の問題
飲み込めないの主な原因としては
- 喉の炎症・異物・腫瘍(デキモノ)・ケガ
- 飲み込む筋肉の問題
②食欲がなく、食べたくない
環境の変化や、嗜好性の変化によって一時的に食べたくない時もあります。
しかし、食欲がない状態が続く場合や、元気もない場合は早めに受診する事が必要です。一見異常がなさそうに見えても、隠れている病気がある場合があります。
③食欲はあるけど、痩せてきた
❶胃腸(消化)の問題
フードを食べていても、うまく消化出来ていなければ体重は減ってしまいます。下痢・嘔吐を繰り返す子は要注意です。
❷内臓・ホルモンの問題
フードを食べ、消化・吸収した後にうまく栄養素を作り出せないと、体重が減る事があります。下痢などの症状が出ないこともあります。
今回は、「よく食べるけど痩せてくる」という症状が特徴的な病気の代表例をあげます。
甲状腺機能亢進症
首にある甲状腺という場所からホルモンが過剰に出る、高齢の猫ちゃんに多い病気です。一見元気で、たくさん水を飲み、食欲もあるように見えます。寿命を短くしてしまう病気とも言われています。主に、ホルモンを抑える薬を飲んで治療します。
糖尿病
血糖値を下げるインスリンというホルモンの効きが悪くなる、太っている猫ちゃんに多い病気です。ワンちゃんも患る病気で、食欲があるのに痩せてくる以外に、多飲多尿が見られる事が多いです。血糖値が上がりにくいフードに変えたり、インスリンというホルモン剤を注射する治療します。
他にも、心臓病や肝臓病、腎臓病、腫瘍によっても体重が減る事があります。
まとめ
体重が減る原因としては、病気の時とそうでない時があります。
まずは適切な量と、その子に合った食事を探すことが大切です。
ダイエットに成功して痩せているのであれば良いですが、痩せてきたのは、歳をとったから、運動量が増えたから、といった単純な理由ではないかもしれません。
定期的にお家で体重を測ったり、健康診断を受けることで体の異常を早期発見する事が大切です。