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咳が出る

投稿日:2024年12月28日 更新日:

こんにちは!獣医師の山浦です。今年も残すところ僅かとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

今日は咳についてのお話しです。

咳の特徴

ワンちゃんやネコちゃんの咳には、さまざまなパターンがあります。乾いた咳をすることが多く、何かを吐き出そうとするような「カハッ」という咳や、乾いた「カッカッ」という咳がよく見られます。咳ではなくえずいている様に見えるかもしれません。異物を吐き出そうとする咳の場合は、吐こうとしているように見える事もあります。

ほかにも、人間のように湿った「ゴホンゴホン」という咳や、「ガーガー」という大きく乾いた咳をすることもあります。

咳が出る時、病院に行くべきか迷う方は多いと思います。

咳は、大きく分けて、一時的なものと、病気が原因になっている事があります。

まず原則として、咳が治らず毎日出る、咳の頻度が増えてきた、咳以外の症状が出てきた場合は病院を受診しましょう。

 

緊急性が高いのは

 息が苦しそうで、横になれず、ずっと座っている

 口を開けて呼吸している(猫ちゃん)

 舌や歯茎の色が青白っぽい

 上記の様子が見られなくても、「いつもの咳と何か違う」と感じたら病院に連れて行きましょう。

 

病院に行く時に把握しておくと役に立つ事

いつからし始めたか

咳をするタイミング

(外出時、水を飲んだ後など)

どんな咳をするのか

「カハッ」「カッカッ」「ガーガー」など

咳をした後に唾を飲んでいる

咳の頻度の変化

尚、咳をしている時の動画があると良いでしょう

他にも、

咳以外の症状(呼吸が早い、呼吸が辛そう、嘔吐した、食欲がない、元気がない、等)

・嘔吐した場合は、嘔吐した物の見た目(血が混ざっている、ご飯以外のものが含まれている)も観察してみましょう

 

以下の場合は要注意です。

・物を食べる癖がある(紐、おもちゃなど)

・混合ワクチンや、フィラリア予防をしていない

・心臓病治療をしている

 

咳を引き起こす代表的な病気

心臓病

中高齢のわんちゃんで代表的なのが僧帽弁閉鎖不全症です。心臓の部屋の区切りの役目を果たす弁の働きが悪くなり、心臓に負担がかかる病気です。症状としては咳の頻度が増えてきた咳以外には呼吸が早い、疲れやすくなった、お迎えに来なくなった、などが見られます。

診断は身体検査に加え、画像検査(レントゲン検査、エコー検査)によって行います。

治療としては興奮させない、心臓の負担を下げる薬を飲むなどです。

病気が進行すると肺に負担がかかり、肺に水が溜まったり(肺水腫)、呼吸が苦しくなることで失神することもあるため、適切に治療する必要があります。

 

ケンネルコフ

若齢または高齢のわんちゃんに多い病気で、ウイルスや細菌による感染症です。悪化すると肺炎になる可能性があり、早い段階での慎重な治療が重要になります。咳がおさまらない場合は早めに受診しましょう。混合ワクチンで完全に予防する事なできませんが、免疫力を十分に付けておくという意味で接種をお勧めします。

 

気管虚脱

気管という空気が通る管が形を保てなくなり、呼吸が苦しくなる病気です。

肥満の小型犬に多い病気とされています。ガチョウの鳴き声「ガーガーという咳」が特徴的です。咳を落ち着かせる治療のほかに、外科的に治療を行う場合もあります。太らせない」事が予防として重要です。また、気管に負担がかからないように首輪からハーネスに変えるなどの工夫も必要になります。

 

病気以外の原因でも咳は起こります

(しかし、ご自身で病気ではないと判断しないようにしましょう。)

環境の問題

・タバコ

・おもちゃ等の誤食

・ホコリ、ハウスダスト(適度な頻度で掃除をしましょう)

誤食をしている場合、肺炎などの呼吸の問題だけでなく、腸に異物が詰まると腸が壊死し、最悪の場合死に至る可能性があります。「食べさせないこと」が1番重要な予防になりますが、万が一食べてしまった場合は必ず病院に連絡を取りましょう。

一時的な咳(代表例)

・リードを強く引っ張った

・冷たい空気を吸い込んだ

・ごはんを食べた後にむせる

・水を飲んだ後にむせた

など

咳が出ないようにするためには?

病気によって咳が出ている場合はその治療が重要になりますが、咳が出にくい環境づくりも大切です。

まずは以下に挙げられることから試してみましょう。

  • 過剰に興奮させない。
  • 家の掃除をこまめにする。
  • リードでは無くハーネスに変える。

食事や水を飲む際の咳が多いのであれば、

  • 早食い防止のお皿に変える。
  • お皿の高さを調節してみる。

必要に応じて

  • 空気清浄機をつける。

まとめ

ワンちゃんやネコちゃんにも生理現象としての咳は起こるため、「咳=病気」ととらえる必要はありません。

しかし、飼い主さんが「咳が出ているな」と気になる場合では受診が必要なケースが多いのが実情です。

咳が続いているのであれば、あまり様子を見すぎず受診されることをお勧めします。

年末年始は親戚で集まったり、お節料理を食べたりと楽しく過ごす反面、誤食が多い時期にもなります。

誤食をしてしまい、年始から病院に行くことにならないように気をつけてお過ごしください!

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