獣医師の長澤です。
前任の井関院長から病院を引き継ぎ、ちょうど1年が経ちました。急な交代となり、飼い主様にはご心配やご迷惑をお掛けしたと思います。
井関院長、大前先生をはじめ、多くのスタッフの皆様が築き上げてきた飼い主様との信頼関係を大切にしながら、気持ちを新たに頑張っていきたいと思います。
これからブログを更新していきます。
病院での出来事や病気のお話、学会、一部、プライベートでの出来事などを書いていきたいと思います。
今回は診察中によくご質問を受ける、コロナウィルスについてお話ししたいと思います。
コロナウイルスにはいくつかの型が存在し、今大きな問題となっている新型コロナウイルスと犬コロナウイルス・猫コロナウイルスは別の型です。
ワンちゃんの犬コロナウイルスで問題となるのは、下痢や嘔吐などの消化器症状がメインとなります。このウイルス自体を排除する治療法はありませんが、重篤になることは少なく、下痢の治療や輸液などの対処療法で良化します。またこの犬コロナウイルスにはワクチンが存在し、予防をすることが可能です。
ネコちゃんの猫コロナウイルスは猫腸コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスが知られています。
前者のウイルスは腸にとどまり、下痢などの消化器症状を引き起こします。ワンちゃん同様重篤化することは少なく、対処療法で良くなります。
しかし、猫伝染性腹膜炎ウイルスは非常に危険なウイルスで、発症するとお腹や胸に水が溜まったり、神経症状を起こしたり、内臓に肉芽腫というものを形成したりと、体調を大きく崩し命にかかわるものです。
このウイルスは猫腸コロナウイルスが突然変異を起こしたものと言われていて、有効な治療もないのが現状です。糞便や濃厚接触により感染が広がるため、多頭飼いでネコちゃんを飼われているお家は注意が必要です。ノラ猫さんを保護された場合は特に注意が必要です。
『今、問題となっている人間の新型コロナウィルスは動物に感染しないのか?』
現時点で動物への感染は認められておらず、感染する可能性は低いと考えられています。ウィルスには種の壁というものが存在し、容易には感染しないというのが、現在言われているところです。
ただ、皆様がご承知の狂犬病のように種の壁を越えて感染を起こしてしまう恐ろしい病気もあるのが事実です。ウィルスが進化をする事により人から動物への感染も起こりうる可能性はないとは言えないのが現状です。
万が一、飼い主様が新型コロナウイルスに感染した場合は可能な限り、飼っておられるワンちゃん、ネコちゃんとの接触は避けるのが安全と思われます。
今後、新型コロナウイルスと動物との関係が明らかになってきたら、またお話したいと思います。
話がかわりますが、上の写真は先日行われた院内セミナーの様子です。今回の議題はフードに関するものでした。
医療は日進月歩かわっていくものですので、今後も積極的に院内セミナー、勉強会、学会に参加し、スタッフ皆で情報をアップデートしていきたいと思います。